【原因】
目の怪我の原因には、おおきく分けて二種類あります。一つは、固いものが目に当たることによりおこるもので、この中には、ボールや他人のひじなどの比較的鈍なものによりおこる場合と、はさみやナイフ、鉛筆の芯など鋭利なものによりおこる場合、瞼の裏に、ゴミや砂、木くずや鉄粉、ガラス片など小さな異物がはいってしまい黒目が傷つく場合などがあります。もう一つは、洗剤や化学薬品、紫外線などにより引き起こされる、いわゆる“化学熱傷”や“電気性眼炎”です。症状や程度はさまざまで、軽いものから重症なものまで多彩です。
【症状】
鈍なものによる怪我は、軽いものは白目の出血や目のまわりの皮下出血だけですが、重症なものは眼底や眼内の出血、網膜剥離、眼の中のレンズの脱臼、白内障や緑内障をおこすことがあります。
鋭利なものによる怪我は、黒目(角膜)が傷ついたり、眼球に穴があき内容物がでることもあります。強い視力障害や失明、眼内への細菌感染の危険性もあり緊急の治療をする必要があります。また眼球に穴があく穿孔性の眼外傷のあと、交感性眼炎と言って、怪我をした目とは反対側の目に数週間~数年して炎症がおこることがあり注意が必要です。
異物によるものでは、角膜に傷がつくと、痛みや流涙、視力障害やまぶしさといった症状がでて、場合によっては細菌感染をおこして重症化することもあります。また、鉄片などの異物が眼球壁を貫いて眼内に入った場合には、白内障や眼内炎、眼底出血、網膜剥離をおこすこともあります。
薬物によるものは、充血や痛み、視力低下を生じ、放置すれば角膜が白濁したり眼球が癒着したりし、失明することもあります。特に酸やアルカリ(塩酸や硫酸、苛性ソーダ、漂白剤、生セメント、消石灰など)が危険です。このような場合は直ちに流水で十分な洗眼を行い、直ちに緊急で眼科医を受診してください。
治療:眼の怪我は原因により治療法が異なり、緊急を要する場合も少なくありません。いずれの場合も受傷後すみやかに眼科医の診察をうけるようにしてください。また、乳幼児では眼帯などにより弱視になることがありますので、勝手に眼帯をしたりしないでください。
血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂肪が異常に増えてしまった状態を高脂血症と言い、高脂血症になると血管の弾力性がなくなって、動脈硬化になりやすくなります。また、高血圧の状態を放置すると、動脈硬化の進行が早まったり眼底に出血をおこしたりします。高脂血症や高血圧は自覚症状が乏しく、放置して動脈硬化が進行し血液が通りにくくなったり詰まったりすると狭心症や心筋梗塞、脳梗塞や脳出血といった命にかかわる病気を引き起こす可能性が高まります。そこで、からだの中で唯一直接血管を見ることができる眼底の網膜血管を検査し、全身の血管の状態を評価します。眼底血管の状態評価には、キース・ワグナーの分類が多くもちいられています。この分類は血管の状態を?T~?W度の4段階に分類し、?V度、?W度と判定された場合は全身的にも危険な状態と考えられます。また、糖尿病では、眼底出血をおこす網膜症という、放置すると失明につながる怖い合併症があります。初期には自覚症状が少なく、気づいたときには手遅れとなる場合もあり、内科的な治療はもちろんですが、眼科的にも定期的な経過観察が必要です。
目をつかって、絵をみたり、文字を読んだりするためには、ある程度の明るさが必要です。適度な照明をすることにより、目をつかう作業の能率を高め、疲労を少なくすることができます。では、どのような照明が目にとって良いのかですが、適切な照明の明るさは、目をつかう作業の内容や、その人の年齢によって異なり、粗な作業では70ルックス以上、普通の作業では150ルックス以上、精密な作業では300ルックス程度とされています。また高齢者では若年層に比べて、より明るくする必要があります。しかし、照明される面の明るさが均等でなかったり、明るすぎるためにまぶしさが生じたり、照明がちらついたり、光源からの光が直接目にはいったりすると、それが原因で目のつかれがおこります。一般的には300ルックスより明るいと目が疲れやすくなるため、200ルックス程度が快適です。さらに、インバーター点灯方式などのちらつきのない照明器具を使用し、照明器具を光が直接目にはいらない位置に設置し、乳白カバーつきの照明器具を使用して明るさのむらを抑えると良いでしょう。また、読書の際には部屋全体の照明と、読書用スタンドも併用してください。